年末モードで部屋を見渡すと、テレビ裏とデスク下だけ季節外れの“密林”。掃除機はケーブルに「ガガッ」とつまずき、気持ちは「今日はやめとくか…」へUターン。わかります。僕もずっとそのループの住人でした。

発想をくるりと反転。配線は「隠し芸」ではなく「見せ方の設計」。視界に入っても美しく、触っても崩れない。そんな“景色化”をゴールにすると、片づけも掃除も、ついでに模様替えまで軽くなります。

キーワードは三つ。
主役は一本(束ねる)/建物の線に寄り添う(直角主義)/床から卒業(浮遊)

今回はテレビまわり・デスクまわりをモデルに、ルート設計→余長のさばき→固定→清掃性→安全(熱とノイズ)まで、迷わない手順に落とし込みます。

この記事を読めばわかること

  • 「魅せて整える」ための三大原則(主役一本・直角主義・床ゼロ主義)
  • 失敗しない通線ルートの描き方(起点終点の逆算/“はしっこ”運用/渡り最短)
  • 余長30〜50cmの黄金比、8の字巻き、ACアダプタの熱対策とラベリング
  • 点で留めず線で支える固定(天板裏トレー/巾木モール/賃貸でもOKな貼り方)
  • 電源と信号のゾーニング、交差90°、ロボット掃除機と喧嘩しない床ゼロ配線
  • テレビ/デスクの実況プロセス、ありがち失敗の即リカバリー、時間別の年越しプラン

1|まず“心のルール”を3つ──主役一本・直角主義・床ゼロ主義

雑然の犯人は、線が好き勝手に走っていること。先にルールを決めてしまいましょう。

  • 主役は一本(幹線化):途中で集約し、ケーブルは“太い一本”に見せる。編組スリーブや面ファスナーで束ねれば、視界は一気に静かになります。
  • 直角主義(建物に合わせる):床・壁・天板と平行/直角で走らせるだけで、設計図のような秩序が生まれます。斜めはなるべくゼロ。
  • 床ゼロ主義(浮かせる):巾木沿い・天板裏・壁面ラックに“持ち上げる”。影が消える→ホコリも溜まらない→掃除機もロボもニコニコ、の三段活用。

この3点を満たせば、「隠さず整う」世界線に入れます。

2|ルートは“駅名表”から描く──起点と終点の逆算

電源側(起点)と機器側(終点)を書き出して、途中の“乗換駅”を決めます。テレビなら【壁コンセント→電源タップ→レコーダー/ゲーム機/サウンドバー】、デスクなら【天板裏タップ→PC/モニター→周辺機器】。

  • はしっこ運用:ケーブルは巾木の真上をなぞるように。角はR大きめで90°に。
  • 渡り最短:機器背面から幹線まで最短直線。“ぶら下がり”は作らない。
  • タップは浮かせる:床直置きは卒業。天板裏のトレーや壁面ラックに載せます(面ファスナーで固定して落下防止)。

地図が描けたら、半分は終わり。迷いが消えると手が止まりません。

3|余長は“30〜50cmだけ”残す──ほどける美学

余りゼロは再配置で泣き、余りすぎは見た目が泣く。間を取って30〜50cmが黄金比。

  • 8の字巻き:ねじれが出にくい“8の字”で軽くまとめ、面ファスナーで留める。結束バンドでガチガチはやり直し不能。
  • しまい先の定位置:天板裏トレー or 配線モールの中へ。正面から見せない。
  • ACアダプタの扱い:黒い“レンガ”は熱がこもりがち。密閉箱はNG、風通しのよい“棚置き”に。
  • ラベリング:端子側に短冊テープで「MONITOR」「PS5」「ROUTER」など。トラブル時の「どれ?」が1秒で解決。

未来の自分への置き手紙、それがラベルです。

4|固定は“点ではなく線”で受け止める──崩れないには理由がある

クリップ数個で“点留め”すると、重さと時間に負けます。受け皿を連続させる=線で支えるのが正解。

  • 天板裏:ワイヤートレー/メッシュラックをクランプ or ビスで固定。電源タップもACアダプタも、まとめて空中に。
  • 巾木沿い:配線モールで“一本の白(木目)”に仕立てる。内装色に合わせれば、建材の線に紛れて視界が静か。
  • 貼り方のコツ:賃貸は強力・剥がせるテープを採用→貼ったら24時間“養生”してから配線を載せると長持ち。凹凸面は最初からビス固定が正義。
  • ピッチを揃える:留め具の間隔は20〜30cm。影のリズムが整い、プロの仕上がりに。

“線で受ける”と一発で安定感が出ます。床から物理的に離れるのも大きい。

5|電源と信号は“ゾーン分け”──交差は90°で握手だけ

映像がザワつく、ネットが不安定。犯人はだいたい近距離の並走。

  • 離隔5cm:電源(AC・アダプタ)ゾーンと信号(HDMI・LAN・スピーカー)ゾーンを最低5cm離す。
  • 交差90°:どうしても交差するときは直角で“挨拶だけ”。並走させない。
  • 発熱ケア:高出力USB充電器・アダプタは風通し優先。布や紙の上に乗せない。
  • 可動域の余裕:昇降デスクやモニターアーム周辺はループを作り、断線を回避。

見た目の整いは、音と映像の安定にも効きます。

6|“見せる配線”のディテール──色・等間隔・影チェック

ここからは仕上げの愉しみ。

  • 色合わせ:白壁×白モール/木壁×木目モール。スリーブ・面ファスナー・ラベルも同系色に寄せる。
  • 等間隔:留め具のピッチを揃えるだけで“設計された線”に。
  • 影を見る:照明を落として影をチェック。曲がりやたるみは影でバレます。留め具を一つ足すだけで印象が変わる。
  • 露出区間は一本化:どうしても見える区間は編組スリーブで“意図した一本”に格上げ。

細部が整うと、唐突に“部屋が大人顔”になります。

7|床ゼロ配線=掃除ストレス0の近道

ロボット掃除機の天敵は“床を横断する一本”。15mm以上浮かせれば巻き込みはほぼ起きません。影が消える→埃も溜まりにくい→毎日の掃除がワンランク軽くなる。人の足運びもスムーズになり、つまずき事故の芽も摘めます。

Two black cables coiled on a yellow background

8|実況:テレビ裏を30→90分で“更地化”する

1)現状写真を背面・斜め・床の3アングルで撮影。敵情把握。
2)タップを浮かす:床→テレビ背面VESA近くへ“タップ台”を面ファスナーで自作。
3)合流地点を決める:各機器背面から最短で“中央の一本”へ。ぶら下げNG、一直線OK。
4)巾木沿いをモール化:幹線は巾木に密着。色は内装合わせ。
5)余長のさばき:8の字巻き→トレーへ収納。アダプタは呼吸できる位置に。
6)ラベルで締め:端子側に短冊ラベル。将来の“あれどれ?”を撲滅。
7)影の最終審査:照明を落として、影が波打つ箇所に留め具を一つ。

写真の“ビフォーアフター”は軽いご褒美。にやけます。

9|実況:デスク下は“天板裏に世界を集約”

1)電源集結:ワイヤートレーを取り付け、電源タップ+アダプタを丸ごと搭載。床から一掃。
2)ハブの定位置:USBハブは手の届く天板裏にクランプ。短いケーブルで近接接続、長い線はトレーに退避。
3)モニター系を一本化:背面の配線はスリーブに通し、支柱沿いに下ろす。昇降分のループを忘れずに。
4)信号ゾーンの独立:LAN・スピーカー線は電源から5cm離隔。交差は90°だけ。
5)足元“横断ゼロ”:延長コードの床走行を全廃。巾木沿いで立ち上げて終点まで直角移動。

椅子を引いた時の“ジョリッ”が消えたら、成功の合図です。

10|“あるある”と即解決

  • ケーブルボックスに全部詰めた→アダプタが灼熱。
     ⇒ ボックスはタップだけ。アダプタはトレーで通風。
  • 床に延長コード一本ドーン→つまずき・巻き込み・景観破壊。
     ⇒ 巾木沿いモールで“壁の線”へ編入。
  • インシュロックで完全固定→やり直し困難・被覆痛む。
     ⇒ 面ファスナーへ切替。季節で組み替え可能に。
  • 色がバラバラ→頑張っても“散らかって見える”。
     ⇒ モール・スリーブ・留め具を同系色で統一。ラベルも色調を合わせる。
  • 余長ゼロ→模様替えで届かない悲劇。
     ⇒ 30〜50cmの“未来の余白”を残す。可動域には小さなループ。

11|時間別“年越しチャレンジ”──今夜・週末・じっくり

  • 今夜30分:幹線の通り道を決める/タップを浮かす/床の横断を0本に。
  • 週末90分:巾木沿いをモール化/余長処理&ラベル/影チェックで仕上げ。
  • じっくり180分:露出区間を編組スリーブで一本化/留め具ピッチの等間隔化/“配線図”を撮影して家族共有。

“やることが見える”だけで、腰が軽くなります。

12|チェックリスト(保存版)

  • 幹線化/直角主義/床ゼロ主義の3点を、全区間で満たしている。
  • 電源ゾーンと信号ゾーンは5cm以上離隔。交差は90°のみ。
  • ACアダプタの通風OK。布・紙・埃が近くにない。
  • 余長30〜50cmを確保。昇降・回転部のループもある。
  • 床の横断配線ゼロ。ロボット掃除機が自由に走れる。
  • 端子側にラベル。背面・床・斜めの“配線図写真”を保存済み。

まとめ

配線は“隠し技”じゃない。線を設計する技術です。主役一本・直角主義・床ゼロ主義でルートを描き、余長はほどける余裕でまとめ、点ではなく線で支える。電源と信号を離し、影まで整える。ここまで来たら、年明けの部屋は別物です。

今夜はまず、タップを床から持ち上げる。そこから全部、気持ちよく動き出します。